スーパーフィールドカメラ【ハッセルブラードSWC/M】

このカメラの構造と特徴

 このカメラは上掲の写真のようにレンズがあるだけのような構造です。普通はフィルムマガジンを装着した状態で写真に撮られることが多くその場合はカメラ然としていますが、こうやってフィルムマガジンを外した状態でみますと何だか頼りありません。自立すらしません。レンズ本体のすぐ後方にフィルムマガジンが装着される、こういった単純な構造です。そのため露光は完全なマニュアルであるばかりでなく、ピント合わせもピント合致を確認するファインダーすらなく、目測によります。写真のボディ上部にあるのぞき窓みたいなものがファインダーですが、これは構図確認をするだけのものです。

 上述のとおり単純な構造なのですが、かなり特殊なカメラです。まず、焦点距離ですが中判6×6で38mmと超広角(対角線上の画角は90°)です。そして中版であるにも拘わらずフィルムマガジン込みでも35mm判一眼レフ程度の重量しかありません。

撮影の仕方

 このカメラで撮影する際に最も留意する点は、上に向けて(又は下に向けて)撮影すると構造物の歪みが大きく出てしまいます。そのため、極力水平に構える、というのが基本です。このことさえ気をつけていれば、このカメラ、その機動性(軽い)と中判フィルムということから、相当に感動的なシーンを自然界から切り撮ってくれます。

私の場合

 私の場合では、15年程前に上掲写真の本機を入手して以来、持ち出しやすいので頻繁に使用しました。超広角レンズ+中判フィルムということで、数々の感動的シーンを切り撮ってくれました。構造が単純なために故障もなく、15年間メンテナンスなしで使用し続けました。まさに私にとっての「スーパーフィールドカメラ」です。そのいくつかのシーンをここのオンラインストアやストックルームに掲載しています。

 しかし、このSWC/M、2020年5月についにシャッターが故障してしまいました。ショックでした。修理できるかどうか、この機種の製造時期は1977~1988年と古くあまり期待できません。すぐに、コロナの真っ最中でしたが、お世話になってきたハッセル修理のエキスパートに見てもらいました。「こんなところが壊れるなんて初めて見た。」・・・それを聞いて、もういいか、と思いました。頑丈なハッセルを使いつぶしたんだから。

今後のこと

 機械の事だからいつかは壊れる、そう思いSWC/Mの後継についても準備してきていました。後継機の名は 903SWC と言います。まだ、実戦使用はほとんどありません。これから徐々につかって行こうと思っています。

2023年8月 記